ゆたにのコト

あらゆる可能性への挑戦

家業に本格的にたずさわるようになった今の自分の原点は何かと自分に問えば、寂しそうに自分たちの代で伝統ある茶業が終わるのを見つめている人々、その姿をそのまま見ていることは、この土地に生まれた者としてできなかった、ということが一つの答えだと思います。

煎茶発祥の地と呼ばれ、かつては繁栄を極めた湯屋谷にも、今は過疎化、お茶離れによる茶価低迷、後継者不足が忍び寄っています。この風景、そこに生活する人々の息遣いがいつもそこにあってほしい。

失われつつある伝統と文化、その血脈が流れる実業としての茶業を絶やさず、伝え続けること。
その試みを持続可能なものとするために、時代の流れを鋭くとらえ、あらゆる可能性に挑戦すること。

そして、地域や家族、導かれるように出会った人々、まだ会ったことのない人々、そして、もう会うことのできない途方もない昔から文化と命をつないできてくれた人々にも、喜んでもらえるよう。まだ何も成し遂げてはいませんが、初心を違えず、前に進みたいと思います。

日本で最も歴史ある美しい茶園

湯屋谷の大福溪は「宇治茶の文化的景観」の世界遺産登録の可能性を明らかにするために、イコモス文化的景観国際委員会が実施した「アジアの茶生産景観」を主題とする調査(平成28年)において、委員長モニカ=ルエンゴ氏(スペイン)が「日本で最も歴史ある美しい茶園」と評価されました。
宇治茶の世界文化遺産登録に向けて、最も難しい課題の一つは、刻々と変化していく農業、田園景観の管理だとおっしゃいました。「景観の中で生活している人たちが、伝統を継続していこうと思うような形にしていかなくてはならない。」
ルエンゴさんの言葉を胸に持続可能な茶業とは何か、を追求していきたいと思います。

京都の山奥、青が生まれた茶園

青 (緑)の今では当たり前のお茶を生み出した、煎茶のふるさとも言える、日本で最も歴史ある美しい茶園は京都の山奥にあります。

営農茶園一覧

大福谷大茶樹

 推定樹齢200年を超える在来種。江戸時代に植えられ、大きな枝振りが壮観です。

  • 所在地:宇治田原町奥山田上大福
  • 面積:約300㎡
  • 品種:在来種

大福谷古樹

 推定樹齢100年を超える在来種。長らく放棄されていましたが、2021年春に、半世紀ぶりに手摘み煎茶を製茶しました。

  • 所在地:宇治田原町奥山田大福
  • 面積:約400㎡
  • 品種:在来種

二ノ谷在来

  • 所在地:宇治田原町湯屋谷奥二ノ谷
  • 面積:約2700㎡
  • 品種:在来種

大福谷やぶきた

1271年に光賢上人により最初に茶の木が植えられた場所であり、鎌倉時代、「最も茶香深し」と言われた大福谷の穂先茶の生産地。永谷宗円の生家から徒歩5分。

  • 所在地:宇治田原町奥山田大福 
  • 面積:3900㎡
  • 品種:やぶきた

二ノ谷奥緑

  • 所在地:宇治田原町湯屋谷奥二ノ谷
  • 面積:1500㎡
  • 品種:おくみどり

黒豆坂

永谷宗円の子孫である永谷伊八家より伝わる茶畑。
 6世紀に記された陸羽の茶経にある、茶樹を育成する上で最も優れた場所、「陽崖陰林」(陽のあたる斜面で、陰になる林のある茶畑)を具現化したかのような、当時の茶業者の経験と知恵が伺われる茶畑。朝日を一杯に受ける一方で、西日を遮る地形。特に香気に優れた茶畑です。

  • 所在地:宇治田原町湯屋谷下西谷
  • 面積:約800㎡
  • 品種:やぶきた

 現・山本山の茶商、山本嘉兵衛が所有していたと伝わる茶畑。

  • 所在地:宇治田原町湯屋谷上中畑
  • 面積:約2000㎡
  • 品種:やぶきた
  • 所在地:宇治田原町奥山田代ノ田
  • 面積:1300㎡
  • 品種:やぶきた
  • 所在地:宇治田原町湯屋谷奥二ノ谷
  • 面積:600㎡
  • 品種:やぶきた
  • 所在地:宇治田原町湯屋谷七廻り
  • 面積:約500㎡
  • 品種:やぶきた

永谷宗円の直系子孫である永谷伊八家より伝わる茶畑。

  • 宇治田原町湯屋谷中谷
  • 面積:約600㎡
  • 品種:やぶきた